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高齢者の血圧について

2014-10-30 16:47:54

 健康な長寿を全うするためにはまず大きな病気を予防することが重要です。とくに高齢者の脳卒中、心筋梗塞など血管の疾患はひとたび発症すると寝たきりなど生活の質を大きく損ないます。またそれらは高血圧症との関連が深いと言われています。そこで、本日は高齢者の血圧について、その特徴、診断、治療について解説いたします。


 高齢者の血圧の特徴 :老化に伴い血管は固く伸展性がなくなってきます(動脈硬化症)。その結果、血圧は上昇し、70歳以上では約70%が高血圧を示します。全身的な動脈硬化症により脳、心、腎の主要臓器の血流が低下しています。血圧は変動しやすく気温などの環境の変化に影響を受けやすいことも特徴です。


 血圧の測定:家庭での血圧の測定は高血圧の診断に有用です。朝、起床時1時間以内に排尿後、座位で安静のあと2―3回連続で測定します。連日記録し記録値の平均値が140/90mmHg以上の方は高血圧症と診断されます。


 高血圧症の重症度:180/110mmHg以上が最重症(Ⅲ度の高血圧)で心・脳血管疾患のハイリスク状態です。次に心筋梗塞、大動脈解離、腎不全、脳梗塞、糖尿病、などの合併症を持つ方は積極的な降圧が必要です。


 早朝または夜間の高血圧:昼間の血圧は正常でも夜間や早朝の高血圧は高齢者に見られ脳梗塞、心筋梗塞を起こしやすく注意が必要です。


 高齢者血圧の治療目標:前期高齢者(75歳以下)では140/90mmHg以下、後期高齢者(75歳以上)では150/90mmHg以下ですが個々の病状、合併症の有無、全身状態により目標値は異なります。


 高血圧症の食事・運動療法:食事療法は塩分の制限(7g/日)が基本です。但し高齢者は栄養不良になりやすいので食事療法は無理のない程度で、個人の食生活を尊重します。運動療法は歩行などの有酸素運動がお勧めです。


 薬物療法:降圧剤は少量から開始し徐々に降圧し過度の降圧を避けふらつきなどの副作用の出現を最小限に留めます。急激な降圧は主要臓器の血流障害をもたらすため降圧治療は緩徐に行うことが重要です。


 日常生活の注意点:冬場の入浴時などは温度変化で、または精神的ストレスの増大などでも血圧は上ります。体調を整え生活することを心がけてください。


 おわりに。高齢者の血圧は変動が大きく、早朝・夜間のみ血圧が上昇する例もあり家庭での血圧測定が診断に有用です。高血圧は脳卒中や心筋梗塞など命にかかわる疾病を引き起こしますが治療により多くは予防できます。治療は生活習慣の改善と薬物療法ですが個々の病状により異なります。また体調の悪化もありますので主治医の指示に従って治療を続けてください。皆さんが健康的な生活を長く過ごされることを願っております。


(東住吉区医師会理事 岡部 眞)