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『胃がんと大腸がんの、おはなし』②

2017-11-13 19:35:59

『胃がんと大腸がんの、おはなし』②

2.大腸がん
早期発見
大腸がんは日本では最もかかる人の多いがんです。
成人男性の10人に1人 成人女性13人に1人が大腸がんにかかる。ただし大腸がんは早期発見・治療で治せるがんです。
・大腸がんの主な症状
便秘と下痢を繰り返す 血便・腹痛 便が細いなど
→これらの症状は、進行するまで現れにくい。

・大腸がんの検診の受診率(40歳以上)
日本    男性42.4% 女性34.5%(平成25年)
アメリカ  約80% (2017年)

・大腸がんの原因
生活習慣(肥満、アルコールの摂りすぎ、運動不足、禁煙など)、高齢、遺伝(全体の15%を占める)
・大腸がん検診は約90%の確率で大腸がんを発見できます。
・早期がんは適切な治療でほぼ100%治せるます。

・大腸がん発見のための検査
便潜血検査(便潜血検査免疫法) 大腸内視鏡検査
・便潜血免疫法:便に血液混入がないか高精度で検査可能。2日間連続で便潜血検査をする。1回でも陽性が出たら精密検査である大腸内視鏡検査を受けてください。毎年行うことで9割以上の大腸がんを発見することが可能になります。便潜血検査は早期大腸がんでは陽性にならない場合が多く、手術が必要な大腸がんをいち早く見つけるための検査ですが、日本では検査で陽性になっても精密検査を受診する人が6~7割未満です。
・大腸内視鏡検査:便潜血検査で異常がなくても、50歳以上の人は一度は検査されることをお勧めします。血縁関係者に大腸がん経験者がいる人は早めに(場合によっては、40歳くらいで)大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。大腸内視鏡検査の前に飲む下剤は改善されて飲みやすくなっています。
・カプセル内視鏡:6mm以上のポリープは90%以上発見できます。しかし保険適応は内視鏡検査ができない人に限定されています。

 

内視鏡治療
・内視鏡治療→内科治療:大腸を切除せずポリープやがんを取り除くだけの治療。診断と同時に治療できることも多く、場合によっては日帰りでできることもあります。
・手術→外科的治療。大腸を切除します。

〈ポリープ〉
非腫瘍(腫瘍にならないもの)⇒過形成性ポリープ:加齢とともにみられやすくなり、がんになる可能性はないので切除しない。
腫瘍
良性⇒腺腫:増大するとがんになる可能性もある。5mm以上は切除することが多いです。
悪性⇒がん:粘膜内にとどまっている早期がんであれば内視鏡で治療できます。
・腺腫がん化説:大腸がんの一部は遺伝子の異常が積み重なって発生すると考えられています。
腺腫が1cmを超えるとがんを含む可能性が高くなると言われ、
・アメリカで全ての腺腫性ポリープを切除すると大腸がんの罹患率が8~9割抑制されることがわかってきています。
・拡大内視鏡でポリープの表面を100倍程度まで拡大観察することが可能。ポリープの表面を拡大観察することでポリープが腫瘍か非腫瘍か又、腫瘍の場合はがんか腺腫か、さらにがんの場合はがんの深さまで診断することが可能となってきています。
・がんが粘膜下層まで浸潤するとリンパ節、肺、肝臓へ転移の危険性がありリンパ節も含めた腸管を切除します。
がんが粘膜内にとどまっているとリンパ節転移の危険性がないので、内視鏡で治療することができます。内視鏡で粘膜内にとどまっているがんをひと塊で切除することが可能であれば、100%治癒すると考えられています。

 

代表的な内視鏡治療
ポリペクトミー
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
合併症として出血・せん孔(腸に穴が開く合併症)があります。
内視鏡治療後7~10日間は飲酒、運動、旅行は控えます。
病理検査の結果、がんがリンパ管や静脈へ侵入している場合は外科手術を追加して行うこともあります。
良性のポリープ(腺腫)や粘膜内にとどまる早期がんで切除できれば再発の危険性はないですが、経過観察(大腸内視鏡検査による定期検査)は必要です。

 

手術
大腸は1.5m~2m程度ある1本の長い臓器ですが、その特徴から大きく2つに分けられています。
結腸:ここを通過するあいだに水分を吸収して便を作ります。
直腸:便をためておく場所。この先に肛門があって便が排泄されます。
結腸がんは6割、直腸がんは4割を占めます。
手術はがんの部分+周囲のリンパ節を切除します。
結腸がん:がんから前後約10cmの距離をとって取り残しがないように切除の長さを決めている。さらにリンパ節も含めた範囲で切除します。
直腸がん:がんから肛門側にむかって2~3cm、その反対側は約10cm切除します。

腹腔(くう)鏡手術と開腹手術があるが、体重、腫瘍の位置、進行度によって主治医と相談して最終的には患者さんが決めます。

大腸がんの遠隔転移:大腸がんの遠隔転移は肝臓が一番多いです。大腸がんにかかった人の約11%に肝臓の転移が見つかります。肝臓の次に転移が多く認められるのが肺で、次いで脳や骨への転移です。それから腹膜播種(はしゅ)と呼ばれる転移もあります。腹膜は胃、肝臓、小腸、大腸など腹部の臓器をおおっている薄い膜のことです。腹膜播種はがん細胞が腹膜の中に種をまいたように散らばり、あちこちで増殖する転移です。

大腸がんは、転移があっても手術によって治ることが報告されています。肝臓、肺の転移の切除は、がんの数が多くないなど切除しても臓器の機能が保てる場合に行います。

 

抗がん剤

抗がん剤治療:

・手術でとりきれた場合・・・再発予防

・手術でとりきれない場合・・・がんの縮小と進行抑制

新しい分子標的薬の登場によって生存期間が長くなっています。(分子標的薬は、他の抗がん剤と併用するのが標準的な治療となっています。)

 

分子標的薬

・血管新生阻害:ベバシズマブ

・シグナル(伝達)阻害:セツキシマブ、パニツムマブ

・血管新生阻害・シグナル阻害:レゴラフェニブ

シグナル(伝達)阻害剤は、ある遺伝子に異常があると薬が効きにくいため遺伝子検査で確認する必要があります。

2016年版大腸がん治療ガイドラインに追加された分子標的薬:ラムシルマブ(血管新生阻害)・・・進行した大腸がんが悪化した場合に使用します。

 

副作用

薬の主な副作用

・抗がん剤:吐き気、脱毛、口内炎、手足のしびれ、味覚障害、白血球減少、肝機能障害など

・分子標的約:手足の皮膚障害、血圧上昇など

副作用ケアの一例

吐き気:においの強い食べ物は避けて冷たいものや麺類を。吐いたら冷水でうがいし氷を含んで水分補給をします。

口内炎:歯磨きうがいを欠かさず、口の中を清潔に保つようにします。

皮膚障害:直射日光を避け、熱い風呂やシャワーは避けます。保湿剤で乾燥を防ぐようにします。

 

今後さらに有効な薬が出来て、治療成績が向上することが期待されています。

          出典:NHK Eテレ きょうの健康

 

                           東住吉区医師会理事
                              佐々木 伸一