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飛蚊症と裂孔原性網膜剥離

2017-11-13 17:42:15

飛蚊症と裂孔原性網膜剥離

1、 飛蚊症とは

明るい所や白い壁、青空などを見つめたとき、目の前に虫や糸くずなどの『浮遊物』が飛んでいるように見えることがあります。視線を動かしてもなお一緒に移動してくるように感じられ、瞬きをしても目をこすっても消えませんが、暗い所では気にならなくなります。このような症状を『飛蚊症』と呼んでいます。

2、 飛蚊症の原因

1)とりあえず心配のない飛蚊症(ほとんどの場合)

 

2)病気の症状として起こる飛蚊症

 

3、 生理的飛蚊症

硝子体の内部には、眼の中の環境を維持するため、寒天と同じように透明な線維や多少の細胞成分があり、それが光の加減で影を作るのです。また、近視の人は眼球の奥行きが長くなり、硝子体内部に空洞ができやすく、その空洞の縁に線維などが集まるので、生理的飛蚊症が起きやすくなります。

 

4、 後部硝子体剥離

本来、硝子体は透明なゼリー状態で透明な袋に包まれていて、しかも硝子体を包む袋はピーンと張ったサランラップ状態(後部硝子体膜)で網膜とくっついているとイメージして下さい。加齢とともに、硝子体のゼリーが水の様な液体に徐々に溶けていく為、硝子体の体積は減ってしまい(袋の中身が減ってしまう)硝子体を包む袋はしぼんでしまいます。この時、硝子体を包む袋は元々くっついていた網膜から離れてしまいます。(60歳頃に起こりやすい)こうして硝子体を包む袋が離れてしまうと外れた袋の部分(後部硝子体膜)のサランラップがくしゃくしゃになってしまいます。その柄が線なら糸くずが飛んで見え、角なら黒い点に見え輪のようになれば輪っかのように見えるのです。

このように後部硝子体剥離は、加齢に伴う目の中の構造変化であり、一旦離れてしまった袋(後部硝子体膜)が、また網膜にくっつくことはありません。したがって「飛蚊症は治らない!」ということです。それどころか、新たな変化(さらに硝子体が溶けてしまい袋はもっと離れてしまう)が起きて、飛んで見える数が増えたり、違うものが見えたりします。

 

5、 網膜裂孔

後部硝子体剥離が生じる際に、硝子体と網膜が強く癒着している場合、または、網膜が弱くなっている場合には、収縮する硝子体に引っ張られるかたちで網膜が引き裂かれ、亀裂や穴、つまり網膜裂孔ができることがあります。後部硝子体剥離は50歳以降に生じることが多いので、網膜裂孔は中高年者に起こりやすい。        

<日本眼科学会「目の病気」網膜剥離>

網膜裂孔の周囲にレーザー光凝固

網膜裂孔の一部は放置してしまいますと網膜剥離に進行します。眼科では眼底検査をして網膜剥離に進む可能性が高いと考えられる場合に、その進行を食い止めるため、裂孔周囲の網膜に「レーザー光凝固」を行います。

 

6、 裂孔原性網膜剥離

網膜裂孔がある眼球の内部には、硝子体が液化した水分があります。その水分は、網膜裂孔の穴から網膜の裏側に入り込もうとします。いったん水分が入り込むと、眼を動かしたときなどに、網膜を剥離するように働きます。

<三和化学研究所「目と健康シリーズ」No.12網膜裂孔・網膜剥離>

 

7、 網膜剥離の治療

網膜剥離が起こった場合、治療は外科的な治療が必要になります。眼球の内側から修復する「硝子体手術」と、眼球の外側から修復する「強膜内陥術」があります。

1) 硝子体手術

網膜裂孔・剥離の原因となった硝子体を切除してしまう方法です。硝子体を切除し、眼球内の液体を空気に置き換え、剥離した網膜を外側の色素上皮に接着させます。そして裂孔の周囲をレーザーなどで凝固します。網膜の復位と固定が終わったあと、眼球内の空気を、吸収の遅いガスに置き換えます。ガスが自然に抜けるまでの数日間、剥離していた網膜は眼底に押えつけられた状態に維持され、より強固に復位します。その間はガスが剥離部分に当たる姿勢(通常 うつ伏せ)を保持します。

2) 強膜内陥術

網膜裂孔のある強膜の外側にシリコンスポンジを縫いつけ、眼球を内側に凹〈へこ〉ませて、剥離してできた網膜のすき間を縮めます。そうすることで硝子体の牽引を弱めておき、裂孔剥離部分を凝固し、復位・固定します。感覚網膜の下に水分が多量に溜まっている場合は、強膜に穴を開けて水分を排出し、網膜の復位を助けます。硝子体手術と同様に、眼球内にガスを注入する方法を併用することもあります。

<三和化学研究所「目と健康シリーズ」No.12網膜裂孔・網膜剥離>

 

                           東住吉区医師会理事
                               石橋 秀俊