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高齢者の眼疾患と予防

2010-12-27 16:57:02

眼科領域で高齢者の代表的な疾患として、白内障・加齢黄斑変性症が挙げられます。

I、白内障

【白内障とは・・・・】
 人は黒目を通して物を見ますが、この黒目にあたる部分に水晶体(カメラに例えるとレンズ)があります。正常な水晶体は透明で光をよく通しますが、加齢など様々な原因で水晶体の中身のタンパク質が変性して濁ってくることがあります。これが『白内障』です。
白内障になると、視力が低下したり、かすんで見えたり、光がまぶしくなったり、二重三重に見えたりします。
【白内障の治療】
 白内障による症状が、日常生活に支障がない程度であれば、点眼薬や内服薬により、白内障の進行を遅らせることはできますが、症状を改善することや、視力を回復させることはできません日常生活に不自由を感じるようであれば手術を考え、眼科医とよく相談しましょう。
【白内障手術】
 白内障手術は水晶体の濁りを取り除き、代わりに人工の眼内レンズを挿入します。
現在では、手術機器や挿入する眼内レンズの進歩に伴い、手術は短時間で行えるようになり、日帰り手術も一般的になっています。ただし、全ての方が日帰り手術を受けられるわけではありません。
① 身体状態に問題がない ②通院できる ③家族の協力が得られる
などの条件が揃っていること(病院によって異なります)が、日帰り手術を可能にします。日帰り手術をご希望される方は、眼科医とよく相談してください。
また、手術時に挿入する眼内レンズは厚みが変わらないので、1か所にピントが固定されてしまいます。その結果、遠くも近くも眼鏡をかけなくてよく見えるということは期待できません。術前に眼科医とよく相談して、ご自身のライフスタイルに合った度数のレンズを選んでもらいましょう。
また、白内障手術後は、感染・炎症・後発白内障(レンズを支えている膜(後嚢)が濁って見えにくくなる)などの合併症が起こり得ますので、しばらく定期的に受診するようにしましょう。

Ⅱ、加齢黄斑変性症

【加齢黄斑変性症とは・・・】
 網膜は眼球をカメラに例えるとフィルムにあたり、この網膜の中央部の直径1.5mmから2mmの部位に黄斑があり、色や形を識別する視細胞がたくさん集まっています。そのため、見たり・読んだり・書いたりする機能は黄斑に集中しています。この黄斑の加齢に伴う変化によって起こる疾患が加齢黄斑変性症で、高齢者の失明原因のひとつです。
 高齢者に多く発症することから、黄斑の加齢による老化現象が主な原因と考えられています。高血圧や心臓病、喫煙、栄養状態(ビタミン、カロチン、亜鉛などの不足)、遺伝などの関与も報告されています。しかし、加齢黄斑変性の原因、病態は完全には解明されておらず、現在もなお様々な研究がなされています。
 加齢黄斑変性症になると、変視症(物がゆがんで見える)・中心暗点(見たいものがぼやけたり・見えなくなりますが、その周りは見えている)・視力低下などの症状が起こってきます。
【加齢黄斑変性症のタイプ】
 加齢黄斑変性は、脈絡膜から発生する新生血管(脈絡膜新生血管)の有無で「滲出型」と「萎縮型」に大別されます。日本人では滲出型が多く、男性は女性の約3倍と報告されています。
 「萎縮型」は、網膜の細胞と脈絡膜が徐々に死んでしまうタイプです。そのために黄斑の機能は徐々に悪化していくので、視力は急激に悪くなりません。
 「滲出型」は、脈絡膜から黄斑に新生血管が生え、出血したり血液中の水分が染み出たりしてくると、その場所に相当する視野に異常が出てきます。初期の症状は見ようとする部分の直線がゆがむ、真ん中が暗く見えるなどです。病気が進み出血や染み出しが増えると、その程度がひどくなって視力も下がり、色もよくわからなくなります。その結果、「人の顔が見えない」、「読めない」、「書けない」状態になります。
【加齢黄斑変性症の治療】
1) レーザー治療
 脈絡膜からの新生血管が中心窩(黄斑の中心)に及んでいるかいないかで、2通りのレーザー治療があります。詳細な検査の結果を踏まえて治療方法は選択されます。
2) 硝子体注射
 脈絡膜からの新生血管を退縮させる作用をもつ薬を眼の中(硝子体内)に4~6週毎に注射します。
3) ルテイン
 紫外線が、目に有害なことはよく知られていますが、目の奥まではほとんど届きません。ところが紫外線よりやや波長の長い青色光は目の奥まで到達し、ダメージを与えます。これが、加齢黄斑変性症の一因となり得ます。ルテインは、特に黄斑に集中していて、目の奥まで届く有害な青色の光から黄斑を守るフィルターの役目をしているといわれています。
また、加齢黄斑変性症に罹患した眼では、黄斑部のルテイン量は、著しく低下しています。このため加齢黄斑変性症では、ルテイン摂取を推奨されています。ルテインは、ほうれん草・ブロッコリーなどの緑黄色野菜に含まれていますが、必要量を摂取することが難しい場合は、サプリメントでの活用も良いと考えます。
【最後に・・・】
1) 早期治療である程度まで視力を保つことができます。
 眼の見え方に異変感じたら、まず眼科にかかりましょう。
2) 定期的に眼のチェックをしましょう。
 加齢黄斑変性症と診断された4割の人では、経過中に両眼に発症すると言われています。
3) バランスのとれた食事で眼の健康を保ちましょう。
 ビタミン、カロチン、亜鉛、ルテインなどの不足にならないように注意しましょう。

(東住吉区医師会理事 石橋 秀俊)